003-4そんなこんなで、ジオサイト「大浦」の見どころについて。

そんな
ジオサイト看板つくりました〜。その1

こんな
ジオサイト看板つくりました〜。その2

 

ここは本当に海がきれいな場所なんですが、ジオ的に見てもらいたいのは、あっちの崖!
大きく曲がってうねったような地層が見えています。
これが実はすごいやつで、7300年前の超巨大噴火の痕跡なのです。
この地層自体は、マグマの飛沫が固まった粉末である火山灰や、マグマの泡が固まってできた軽石なんかが、谷間にたっぷりと溜まってできたもの。
それが自分の熱でもう一度融けてお互いにくっつき、溶岩のようになってしまったものなのです。

まじか!?って感じですが、これにはちゃーんと証拠が。
崖の面や、崖から剥がれ落ちて転がっているブロックをよーく見ると、レンズ状の黒い筋のようなものが見えます。この黒い筋、もともと軽石だったものが潰れてしまったもの。
運が良ければ、軽石の気泡の部分がつぶれて細長くなってしまってるものも見ることができます。

(あの写真が手元になかったー!あとで探して入れます)。

軽石をぼくらが常温でぎゅっと押しつぶそうとしても粉々になるだけ。
気泡が細長くつぶれることができるのは、軽石が高温で柔らかくなったからです。
その温度は、だいたい600度以上と言われてます。

つまり「この場所に、火山灰や軽石が冷える間も無くあっという間に数十メートルの厚さに積もり、さらにその地層が、軽石や火山灰も融ける600度以上の高温になった」という証拠を、この崖全体が大迫力を持って語りかけてくれているんです。

そう考えたらけっこーすごいでしょ?

このすごい出来事を引き起こしたのが7300年前の鬼界カルデラの大噴火(アカホヤ噴火)というわけですが、7300年前という時間や、これが鬼界カルデラの噴火によるものだ、ということはこの露頭を遠目から見たからだけではわかりません。
もうひとつ、このジオサイトの見所は、その下の地層です。
けっこうな高さの崖になっていますが、これは一枚の溶岩です。
これだけの厚さの溶岩を流した噴火が、アカホヤ噴火の前に起こっていたことを示しています。

先ほど紹介したアカホヤ噴火の地層では、マグマの飛沫だった火山灰や、マグマの泡だった軽石が飛んできて積み重なったものですが、こちらの地層はすごい厚みのマグマそのものがどろりと流れてきて固まったもの。これだけの厚みのあるマグマを噴出するって、、なかなかのすごい噴火です。

この噴火は一体なんだったのか!?
アカホヤ噴火との関係は!?
ひょっとして、前兆だったりするの!?
どのくらい前に前兆噴火が起こるの?

…と疑問がでてきますが、実はこれらはまだきちんと解決されていません。
いま日本各地から研究者が硫黄島に集まり研究をしてくださっているところ。
成果に期待です。

(関係者の方へ。数字とか、解釈とか、間違ってることあったら教えてくださいませ。)

というわけで、ジオサイト紹介その1、大浦港でした!

GO!  OURA!

大岩根尚

About 大岩根尚

宮崎生まれ。大学時代から地質学・海洋地質学を専攻し、2010年に東京大学にて環境学の博士号を取得。卒業後は国立極地研究所に就職し、南極観測隊として南極の調査に参加。2013年10月より三島村の地球科学研究専門職員に転身し、村のジオパーク認定に尽力した。2017年4月より三島村の硫黄島に移住し会社を設立。教育、人材育成にもフィールドを広げ活動中。