えびの国際交流センターで講演しました。

By 2016年2月14日離島ブログ

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こんばんは、大岩根です。

2月7日、えびの国際交流センターにて、霧島ジオパーク市民講座での講演を行いました。

タイトルは「アカホヤ噴火と霧島」。鬼界カルデラの大噴火の経緯や、それが霧島にどんな影響を及ぼしたのかについて解説しました。

火山学をきちんと勉強していなかった僕にとっては少し高いハードルだったので、久しぶりにまとまった時間をとってお勉強。鹿児島大学の図書館に行って論文や書籍を探します。もちろん「鬼界カルデラの大噴火が霧島にこういう影響を及ぼしました」という論文や書籍はありません。いろんな論文から地層中の花粉や植物珪酸体などの分析結果を探し、噴火の後の植生の回復や、噴火前後での変化、縄文人への影響についての記載を探しましたが…

○火砕流の到達した薩摩・大隅半島南部の低地は照葉樹林が壊滅し100-300年くらいはススキの原野になっていた。

○火砕流が到達しなかった地域はそこまでの壊滅的な植生被害はなく、比較的はやく植生回復がおこった。

○火砕流の直撃を受けた地域ではその後数百年間は遺跡が断絶。

これらを示す証拠や記載は見つけることができましたが、以下の霧島がどうなったのか?は僕の推測です。

おそらく霧島では、火砕流が到達しなかったために数百年間の植生断絶まではなかったものの、数十センチの火山灰によって埋まり、植生の回復が起こった。数年?数十年?たぶん100年以内。縄文人も灰にまみれてげほげほ言いながらも頑張って暮らしていたのかもしれません。この頃から薩摩人は我慢強かったのでしょう!

えびの

講演内容には興味を持っていただいたようで、最後の質疑では、相当にマニアックな質問までしていただき、盛り上がった会になりました。おやすみの日にわざわざ集まってくださった皆さん、どうもありがとうございました!

大岩根尚

About 大岩根尚

宮崎生まれ。大学時代から地質学・海洋地質学を専攻し、2010年に東京大学にて環境学の博士号を取得。卒業後は国立極地研究所に就職し、南極観測隊として南極の調査に参加。2013年10月より三島村の地球科学研究専門職員に転身し、村のジオパーク認定に尽力した。2017年4月より三島村の硫黄島に移住し会社を設立。教育、人材育成にもフィールドを広げ活動中。