竹島の学校でお話ししてきました!

By 2016年6月8日離島ブログ

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こんばんは。ひさしです。

今回は久しぶりに竹島へ。
学校に呼んでいただき、「総合的な学習の時間」の中で出前授業をやらせていただきました。
島の子供たちが島のことを再発見するようなお話をということでオファーをいただいたので、まずはアカホヤ噴火のお話を。

 

教室の窓から大噴火の証拠が見える!

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ものっっすごい大噴火が、この竹島のすぐそばで!あったんだよー、すっっごい火砕流がながれてきて固まったんだよーってのを、まずは30分くらいかけてお話し。

教室の窓の外2メートルにある壁がアカホヤの露頭という、笑ってしまうくらいありえへん好立地にある学校なので、窓の外を指さして「あ、そうそう、この壁も大噴火の痕跡なんだよ」って言ったらみんな立ち上がって「ええええどれが!?」って大興奮!

 

それじゃ大噴火の証拠、実物を見に行こう!ということで外へ。
外にでて車で5分くらいのところにあるカルデラ噴火の火口壁の絶壁を見てもらったり、

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島の西端、オンボ崎に着いたら展望台まで競争だー!!って走って登って(もちろん筋肉博士はオトナゲなくぶっちぎりの1位で格の違いを見せつけます♡)、他の火山をみてもらったり(口永良部島見えてるのわかります?あとこの展望台からは開聞岳も硫黄岳パイセンもみえます!パイセーン♡)して1日目の2コマは終了しました。

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夜は民宿でBBQ。

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大名筍の丸焼きや大きすぎるブリのカマ焼きが1人1つ以上という、幸せの垂れ流しと言っても過言ではない美味すぎるBBQを堪能!しあわせぇ〜!!

 

2日目。

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朝から簡単に昨日のことをおさらいと、ちょっと付け加え。

実は竹島では、アカホヤ噴火ででてきた火砕流が固まった石(溶結凝灰岩)を、「竹島石」という名前の石材としていたるところに使っています。300年くらい前、わざわざ鹿児島から石工を呼び、階段の踏み石やお墓や神社の狛猫や灯籠の石材として、竹島石を使っているのです。

そりゃそうですよね、今みたいに外国産の石材の方が安いなんて意味不明なことありえない時代ですから、近くにある加工しやすい石材を使うわけです。

60年ほど前に学校の校舎が移転した際に建てられた石碑にも竹島石が使われています。窓から見えてる崖が実は大噴火の証拠だった、というのもそうですが、見慣れまくったものにそんな秘密があったなんて!と、こどもたちも興奮気味。

 

それでは実物を見よう!とそのまま学校の外へ。まずは石碑を見ます。潰れた軽石がはっきりとみえます。こどもたちも、へばりつくように、というかへばりついて石碑に見入ります。

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そしてそのまま港へ。港へ降りる途中にある溶結凝灰岩の路頭で、石材として加工される前の石をみます。石碑を見たときに軽石が潰れていることを確認していたので、これは皆すぐにわかりました!吸収が早い!

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溶結凝灰岩の地層が、港の崖に複数箇所見えているのを皆で確認したら今度は神社へ。狛猫や石碑を観察しました。

 

こどもたちが興味を持って聞いてくれたおかげで授業はとってもいい感じにすすめることができました。感情をストレートにぶつけてくれるから、こっちもまっすぐ感情を引き出されます。授業終わって帰るのが少し寂しかったですが、出し切った清々しさがありました。

こどもたちが感想文を書いてくれました。それぞれ楽しかったことや驚きを、それぞれの言葉で書いてくれてて、なんというか、こどもたちがそう感じてくれるきっかけを提供できたことに嬉しさを感じたし、彼らが感じてくれた感情そのものが自分にとってすごく大切にしたい宝だと感じました。
博士を超える科学者になってみせる!と書いてくれた子もいて…もうなんか、はちきれそうでした。

今回ぼくが伝えた知識によって、こどもたちには「見慣れた景色が意味を持って、違った景色として迫ってくる」という経験をしてもらい、彼らは新鮮さや驚きを感じてくれました。
これは僕が地質学の勉強をしながら感じていた面白みそのものでもあります。

同世代の人よりたくさん勉強する、知識をつける時間をもらえた僕が感じているのは、知識をつける、勉強するってそういうことなのかなと思います。
見えてる世界を、より面白い世界に変えるための道具というか、フィルターというか、そんな感じ。

僕は地質学のフィルターしか持っていませんが、生物とか、天気とか、自然界の森羅万象だけではなく工学とか歴史とか宗教とかアートとか哲学とか、そういう人類が作り上げてきた知的、芸術的体系のフィルターをなるべくたくさん持つことができれば、もっと世界は面白くなるんじゃなかろーか。という意味で、僕はもっといろんな勉強するのも悪くないなあと思うのです。

勉強するのって、小学生の頃から大学入試までは確実に嫌いでしたが、この「悪くないね」感を、こどもたちにも少しでも伝えられたら、将来の世界はもっと幸せになるんじゃなかろーか。こういう機会をもっと島で増やしてゆきたいなー。

 

GO! MISHIMA!!

大岩根尚

About 大岩根尚

宮崎生まれ。大学時代から地質学・海洋地質学を専攻し、2010年に東京大学にて環境学の博士号を取得。卒業後は国立極地研究所に就職し、南極観測隊として南極の調査に参加。2013年10月より三島村の地球科学研究専門職員に転身し、村のジオパーク認定に尽力した。2017年4月より三島村の硫黄島に移住し会社を設立。教育、人材育成にもフィールドを広げ活動中。