003-4前回は取り乱し、脱線してしまいすみませんでした。

全然読まなくていい1回目はこちら
そんなわけで、看板のはなし!

これから紹介する三島村・鬼界カルデラジオパークの看板は、基本的に「写真に描き込む」スタイルをとっています。これは、見えているものを証拠として事実を復元してゆく地質学のスタンスを大切にしたものです。

最初に紹介するのはここ、大浦ジオサイト。

IMG_9142 のコピー

ここ、海がすっごくきれいで、素潜りに最高の場所です。

このジオサイトのみどころは高さ数十メートルの大露頭。火山灰や軽石が谷間を埋め、自分の熱でもう一度溶融し固まってしまった(溶結といいます) 様子がこの地層断面に見えているのですが、これについては次回書きますね。

というわけで、今回は看板をどうやって作ってったか、という話。

この「写真に描き込むスタイル」は僕がお客さんをご案内するときに、よくiPadで写真を撮ってその写真に書き込んで説明をする、ということが結構あったので、それがヒントになりました。ここでは、数年前に move emotions の高野仁さんが撮ってくださった写真をベースに看板をつくることにしました。
これが1回目の下書き。

003-1

ここで見えている地層の名前や、ここで読み取れること、溶結という現象の説明を簡単に描きこみました。まー下書きなんでふざけてますよ。笑

これをもとに棚次さんがイラストレーターで描いてくれます。

003-2

あ、右上には模式柱状図が加わってます。

地層の積み重なり(粒の粗さ細かさの度合いや、どんな粒から成っているか、など)を図にしたものを柱状図といいます。この地域全域に見られる地層を模式的に表したものが「模式」柱状図です。
ここでは僕の下書きをもとに手描き感のあるものですが、、次のバージョンではもっとスッキリします。

 

003-3

ロゴやパンフレットとの統一感を出すためにデザインはシンプルにいこう、ここに入る文のボリュームはこのくらいで、みたいな話もしながら作り上げてゆきます。鬼界カルデラの噴火の推移の図も加えました。

こんな感じで、僕が手描きで描いて棚次さんがデザインして、それに僕がコメントを返し、、というのを繰り返して完成形に近づいてゆきます。

途中段階の原稿を棚次さんの Macbook から僕の iPad に Airdrop で送り、すぐに apple pencil でコメント入れて送り返して、、みたいな Apple の CM みたいなことを一緒に移動中のフェリーの中でやってたりもしながら、完成に近づけてゆきました。

そんなこんなで完成した看板が、こちら!
003-4模式柱状図に使った模様を実際の地層にも描きこんでわかりやすくしたり、この石が石材として使われてるよ、なんて人の生活につながること、もし硫黄岳が噴火したときのことを考えて、港から&火口からの距離を加えたりなど、チームで話しながら書き加えました。

うーん、いいものができたなあ。笑

そんなわけで看板完成。
ここで見える景色の面白さを次回、解説します。

GO! KANBAN!!

大岩根尚

About 大岩根尚

宮崎生まれ。大学時代から地質学・海洋地質学を専攻し、2010年に東京大学にて環境学の博士号を取得。卒業後は国立極地研究所に就職し、南極観測隊として南極の調査に参加。2013年10月より三島村の地球科学研究専門職員に転身し、村のジオパーク認定に尽力した。2017年4月より三島村の硫黄島に移住し会社を設立。教育、人材育成にもフィールドを広げ活動中。