今日は濵田先生が先日の調査結果を持ってきて下さいました。

 

結果についてのお話を伺う中で興味深かったお話を2つ、ご紹介します。

まずは竹の「一斉枯死」の話。

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なんと、竹林全体が一斉に死んでしまう、という現象があるようです。
一本一本の竹は5-6年の寿命ですが、この竹を次々に出してゆく「株」のほうにも寿命があります。
これがだいたい60-70年。

株どうしは地下茎で繋がったいわば一個体なので、寿命がくる時には全面が一斉に枯死することになります。枯死する前に、竹も子孫をのこす必要があるので、花をつけます。
そして実を落とし、次の世代をのこします。

記録上では、竹島では大正元年に、硫黄島では昭和10年に花が咲き一斉枯死が起こった記録があります。また、平成5年には硫黄島と黒島で花が咲いた記録がありますが、島全域の一斉枯死ではなく部分的なものだったということです。

この一斉開花・一斉枯死が起こる前兆としては
・筍が出なくなる
・出ても細い
ということがあるようです。

竹の一斉開花・一斉枯死はなかなか起こらないことでもあるため、天変地異の前兆として恐れられているようです。

花が咲き、実が落ちる頃になるとノネズミが海を渡って大繁殖して竹の実を食べると言われています。竹を食べ尽くすと芋などの作物、倉庫に忍び込んで米、家に忍び込んで人まで齧り始める、ということもあったようです。これが再発しないように祈り、各島に「大山神社」を作って祈念したとされています。

竹の不思議、生き物、人の暮らしや歴史が繋がっていて面白いですね!

 

次にジオと竹との関わりについて。

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先日先生が島に行かれた時に、地質についても見て下さっていました。
報告書に「地形は平坦地」の記載が。
平坦な地形は、7300 年前の大噴火の時に火砕流が谷を埋めたからできたもの。
火砕流が谷を埋めなければ、今よりもっと起伏にとんだ地形だったはず!
大噴火のおかげで筍の採集がやりやすい地形になっているのです。

それから「地質は母材はシラス」との記載。
火山灰の多い酸性の土壌は竹の生育に適しているとのこと!
いわゆる鹿児島の「シラス台地」のシラスとは、竹島のものは違いますが、酸性の土壌になる火山灰性の地質という意味では似ています。
ジオ(地球)の恵みを受けて竹が生え、それを僕たちが利用するというつながりがあるんですね。

面白い!!勉強になりました〜!!

 

 

大岩根尚

About 大岩根尚

宮崎生まれ。大学時代から地質学・海洋地質学を専攻し、2010年に東京大学にて環境学の博士号を取得。卒業後は国立極地研究所に就職し、南極観測隊として南極の調査に参加。2013年10月より三島村の地球科学研究専門職員に転身し、村のジオパーク認定に尽力した。2017年4月より三島村の硫黄島に移住し会社を設立。教育、人材育成にもフィールドを広げ活動中。